|
大人の会話を交わしたいメインダイニングは、シックな深いグリーン。深い色合いによって、緩やかにつながるキッチンとは全く異なった表情を演出している。
|
|
人にやさしい
リノべーション
|
この建物は暖房用ラジエーター会社のゲストハウスとして使われており、ゲスト用とオーナー用の空間がある。今回はその中のダイニングとキッチン、そしてバスルームとシャワールーム、トイレなど、いわゆる水廻りを中心に改装した。この建物はRC壁式の30年程たったもので、ある時期ごとに手を入れ丁寧に使われている。しかしキッチンは長期滞在には不向きであった。ここでは来客の接待・宿泊やセミナー、レセプションなどが行われており、空間はこれらの時間を心地よく過ごすために用意された。人の生活にとって、食と住は2大テーマであり、だれもがゆったりとした時と楽しい食事をと思っていても、空間の事情や仕事の忙しさなどに日々流されて行く。だからこそここでは、現代人が忘れつつある時と住空間の関係をもう一度、リノベーションを通してつくりあげた。住空間は時代の流れと共に変化する、それはそこに住む人も同じである。また、住設機器の進化は住空間の構成を大きく変える要因でもある。北国の空間は気密断熱が充実しており、さらにすぐれた暖房計画により、今回のようなオープンなバスルームを可能にする。そしてそこは、生活の一時を過ごす空間と考えてよい。いまある器(建物)を大切に新しい時代のライフスタイルに合わせて、人と環境にやさしい空間をインプットする楽しみは何とも言えない。 文/小西 彦仁 |
|
1973年に社員の独身寮として誕生して以来、コンクリート打ち放しの外観は変わらない。設計は、力強い空間を構築することで知られる篠原一男によるものだ。 |
|
「この雪景色こそ、最高の贅沢よ」。朝日を受けて柔らかにきらめく雪や夕日に照らされる山のシルエットに、東京から来たオーナーは最高の歓びを感じている。 |
|
Kitchen
生活のメインステージのひとつ、ここは「最もクリエイティブな空間」
食べる楽しみは、食材選びに始まり、つくるプロセス、香り、美味しさ、会話、これら全てです。オーナー夫婦は、キッチンを「家族がパフォーマンスし合う、最もクリエイティブな空間」と言います。この家では、日々の生活でスローフードを実践し、オーガニックなものをつくり、皆で喜び合って食べ、同じテイストを分かち合う時間を、心から大事にしています。キッチンに高い機能性を備えたのは、多くのゲストをお迎えするためでもあります。ゲストをキッチンに招き入れ、インフォーマルな雰囲気で互いの距離感を縮めるのが、この家のスタイル。「ここで過ごす時間は、いつも明るくハッピーでありたい」。壁面に淡いイエローを配したのは、そんな思いからです。 |
|
|
Bodyroom
大切にしたい時間、ボディルームへのこだわり。
「ただ入浴するだけの浴室は、まるで身体の洗濯機のよう。ボディルームとは、自分と向き合い、子どもと戯れる、大切な時間を過ごす場所です」。こう語るオーナーは、2つのボディルームをつくりました。その1つがこちらの、居心地のよさを追求したボディルーム。北側の角に押し込められがちな、ユニットバスへのアンチテーゼです。思わず背伸びしたくなる、心地よい刺激と適度な緩み。ガラスで緩やかにつながるこの空間には、幸せな時間の流れが感じられます。明日への活力を育んでくれる、包み込むような温かい世界が広がっていました。
|
|
|
「毎朝一緒にシャワーを浴びないと、うちの子どもたちは怒るんだ」。目覚めたばかりの身体にエンジンをかけるシャワールームが、もう1つのボディルーム。スパイラル状のタオルウォーマーは新鮮なインテリア。 |
|
四季の移ろいがアートとなって飛び込んでくるデッキ。センスよく選ばれたタオルウォーマーによって、ふかふかのタオルと温かさが用意されている。 |
Lounge
心地よい空間で流れる時間の豊かさを感じて。
この家では、オーナーがライフスタイルに求めるメリハリが、空間に豊かに表現されています。空間を印象的に仕上げているのは、素材のテクスチュアや色などの、センスを感じさせる組み合わせ。ラウンジは、自然光と人工光が魅せる色の美しさによって、自然の移り変わりを感じられる軽やかな空間です。子どもたちと絵本をながめたり、夫婦でギターやピアノを楽しんだり。ゲストも思わず長居する、安堵感と和やかさです。 |
鳥のさえずりが心地よい朝、軽やかでゆるやかな午後のひととき。壁に反射する光が、空間に気品と温かさを与えている。 |
|
時間と共に移ろう自然の光と影が、厚みあるコンクリートブロックに柔らかさを与える。視線の先の緑と壁の淡いグリーンが、ゲストをさわやかに出迎える。
|
前回ご紹介の家はこちらです |
|
|