住宅雑誌Replan（リプラン）

50年の恵みが隅々に生きる
無節カラマツの2世帯住宅

浦幌町・北村さん宅　家族構成／母70代、夫婦40代・30代、子ども2人
設計／エープラス建築設計 一級建築士事務所
施工／（株）大野建設

　浦幌町で明治初期から代々、林業・製材業を営んできた北村さん一家。現在は4代目の昌俊さんが先祖から受け継いだ「北村林業」の代表を務め、地域活性化にも積極的に取り組んでいます。北村林業では、社有林の樹齢50年のカラマツを生かし、カラマツとは見た目の印象が違う「無節カラマツ」を商品化に向けて開発中でした。そこで北村さん親子は、築50年を経て建て替え時期を迎えていた自宅で、まずは採用してみることにしました。
　建築家、名古屋英紀さん設計の住宅が町内に建ったのが縁で、現代的な住まいをつくる名古屋さんなら、無節カラマツならではの魅力を生かしたデザインができると期待しながら、新築を依頼しました。名古屋さんは、その美しい木目を内外装に活かして設計。施工は、職人さんの腕が信頼できて数多くの仕事を共にしてきた、新しい取り組みにも積極的な大野建設が担当しました。
　2016年11月に完成した新居の象徴ともいえるのが、無節カラマツ材を伸びやかな吹き抜けに沿って縦張りした玄関ホール。自然塗料で淡く白を載せた無節カラマツは、ナチュラルでありながらも、洗練された表情を漂わせています。「家づくりに関わった誰もが、初めての試みでしたが、しっとりとした雰囲気をまとった木の家ができました。名古屋さんと大野建設のチームワークの賜物ですね。これから自信をもって無節カラマツ材を商品化できます。北海道の家づくりに役立てていただけたら、嬉しいですね」。