住宅雑誌Replan（リプラン）

　以前の家が津波で全壊したため、家族７人が２棟の仮設住宅に分かれて生活する日々が長く続いたＳさんご一家。「みんなで一緒に暮らしたい」との想いから新築を決断、地元で信頼できると評判の吉田建設に施工を依頼しました。
　伝統的な木組みの技法を取り入れた本格木造建築ながらも、モダンな雰囲気が漂う新居。最大天井高が６メートルもある開放感いっぱいのリビングは、ナラ無垢の床、スギ材を用いた床や梁と、豊富に用いられた木が心地よさをもたらします。リビングの隣に広がるのは、カヤの腰板、木曽ヒノキの床柱、スギの竿縁天井などを施した和室。寺社建築も数多く手がける同社の技術の粋を尽くした空間です。
　機能面にも十分な配慮がなされています。来客専用の表玄関のほか、家族用の裏玄関を備えているのもその一つ。裏玄関脇には息子さんたちの野球道具置き場として土間収納を設置、汚れて帰宅した時のために洗面脱衣室や浴室もそばにレイアウトしました。裏玄関からキッチンまでの直線的な動線や、キッチンを中心に回遊できる間取りなど、家事の効率性を高める工夫にも秀でています。
　断熱材には断熱性･保温性に優れた発泡ウレタン吹き付けを採用。ＬＤＫと和室の広々とした空間も、リビングのエアコンだけで暖を取ることが可能です。
　「落ち着いた生活をやっと取り戻すことができた」と喜びもひとしおのご一家。木の香りが芳しい快適な空間で、再び家族水入らずの暮らしが始まりました。